聴松閣2階の階段ホールからの眺め。べんがら色の外壁と紅葉が調和し趣のある風情です。
錦秋に染まる揚輝荘・聴松閣(1) より続きます。
〈階段・廊下ホール〉
広々としたホールは手斧(ちょうな)で木材の表面に化粧を施す名栗、階段手摺の透かし彫りなど大工の匠の技をふんだんに見ることができます。
階段手摺は透かし彫りを施した太い角材と細い丸材を交互に配した凝った意匠。
〈旧書斎〉
書斎の床は当時日本ではまだ珍しかった輸入プラスチックタイルが市松模様に貼られてモダンな雰囲気。
天井は舟底天井の周りを、照明を組み込んだ網代天井が囲みます。
部屋の四隅にはステンドグラスの硝子戸が付いた造り付けの書棚が据えられています。画像右奥の写真の飾ってある書棚は、GHQによりカービン銃置き場として改変されたもの。
書斎よりの眺め(左の建物は揚輝荘座敷)
〈旧応接室〉
暖炉のある応接室は楽しかった旅行の思い出が込められて。画像左奥の丸窓とソファーのあるコーナーは一等船室をイメージ。オウム柄の壁紙が貼られてトロピカルでエキゾチックな印象です。この壁紙はホールのコーナーにも貼られていました。復元された暖炉とタイルは航海中に見た波がしらの立つ海のイメージだそうですよ。
〈旧寝室〉
天井の鳳凰、復元された暖炉の上の木鶏や氷裂、筋斗雲のような文様など、中国風の装飾が施された来客用の寝室。
〈旧更衣室〉
聴松閣唯一の和室。べんがら色の壁、竹長押、面皮付柱など数寄屋風にしつらえられています。お客様はここでお召し替えをされたそうです。
更衣室脇の洗面所とその窓から見える揚輝荘座敷。
〈旧トイレ〉
トイレの床はタイルの市松模様、腰壁にはスクラッチタイルが貼られています。現在は撤去されていますが、洋式の水洗便器が設置されていたそうです。奥左手の扉は、掃除のために出入りする従業員さん専用口で、お客様と顔を合わせないようにするための配慮です。
天井の網代の周りには、琵琶のような透かし彫りが換気のために施されています。
錦秋に染まる揚輝荘・聴松閣(3)へ続きます。
この頁は揚輝荘HP、館内キャプション、スタッフの方から伺った解説を参照させていただきました。