壁紙や塗装のお色を決める際に、絵画などのアートを飾る予定があるので、背景となる壁に色をつけるのは邪魔になるのではないかと心配される場合がございます。本当に壁の色は邪魔になり、白い壁が一番アートを引き立たせるのでしょうか。
(画像はエルミタージュ美術館展で撮影したもの)
絵画を引き立たせるカラーの壁の存在が多くの方に認識されたのは、オルセー美術館の2011年の大規模改装ではないでしょうか。改装前は白やベージュ、石材など明るい色が使用され、光に満ち溢れた展示空間でしたが、なぜか絵画の価値を引き出せていなかったそうです。そこで床の石材を光を吸収する暗い色のフローリングに、壁も絵画より明度と彩度を控えたグレーやブルー、グリーン、紫などのダークトーンに変え、日中の光を再現できる照明を採用しました。その結果、絵画本来の鮮やかな色彩が際立ち、ひとつひとつの作品が浮かび上がるようになったということです。
最近は絵画を引き立たせる壁の色を考慮した展示の美術館が増えてきていますね。
でもクラシックな絵画はもともとそうした雰囲気の宮殿や格式ある邸宅のような空間に飾られていたのであって、コンテンポラリーなアートには白っぽい背景のほうが映えるのでは…?そんな疑問を持たれる方にはこちらをご覧いただきたいと思います。
FARROW&BALLさんのHPを拝見していたら、彩りのある壁がシンプルなアート作品を引き立てている素敵な画像がありましたのでお借りしました。
COL:OVAL ROOM BLUE NO.85
COL:VARDO NO.288
COL:SALON DRAB NO.290
COL:LONDON CLAY NO.244
COL:RECTORY RED NO .217
COL:PAVILION GRAY NO .242
COL:WIMBORNE WHITE NO .239
いかがでしょうか。アート作品ときれいなお色の背景、インテリアのすべてが調和して美しいですね。下2つの画像は緊張感を与えがちなミドルグレーとホワイトを使用していますが、バランスよくグリーンとテキスタイルを組み合わせることにより、暖かみや柔らかさが加えられていて心地よい雰囲気です。
人の目は暗い色より明るい色に反応するため、周囲が明るい色だと作品が実際よりも沈んで見えてしまうようです。白を選ばれる際も、真っ白なピュアホワイトではなく作品よりも少し明度を落とされたほうがアートは引き立つのかもしれません。
幸せな住まいづくりのためのささやかな覚書き
―Note Felice―
お読みいただきありがとうございました
インテリア、リフォームのカーサフェリーチェ
(名古屋市名東区)