醒井宿は滋賀県米原市にある中山道61番目の宿場町です。醒井の地名の由来ともなった「居醒の清水」を源流とした地蔵川に沿って、今も風情ある町並みが続いています。
居醒の清水は醒井の加茂神社の境内脇の石垣の下から滾々と湧き出る名水。日本武尊が伊吹山の神との闘いで毒気にあたり熱病に倒れた時、この清水で体毒を洗い流した霊水とも伝えられ、 平成の名水百選にも選ばれています。近くの湧水、十王水や西行水も加わり地蔵川となった清らかな流れは、この地人々の生活を潤し、宿場を訪れた旅人の疲れを癒してきました。
地蔵川はとても珍しい水中花『梅花藻(バイカモ)』でも有名です。梅花藻は梅の花に似た小さな5弁の白い花を咲かせるキンポウゲ科の沈水植物で、流れのある冷涼な清水でのみ生育します。
水温が年間14度前後の清流にしか生育しないため、醒ケ井は西日本では数少ない貴重な観賞地です。
梅花藻は初夏から晩夏に掛けて開花し、盛夏に見頃を迎えます。同じころ川岸に咲く百日紅(サルスベリ)が水面に落花すると…
梅花藻の白い小花と葉の濃い緑、そして百日紅のピンクが澄んだ地蔵川の流れに揺れて。
梅花藻の清楚で涼やかな風情の中に彩りが加わり、美しく華やかなコラボです。
町並みを散策すると、地蔵川の流れに沿ってこうした梅花藻の群生ポイントが見られます。
梅花藻をUPで(これはヤマキ醤油さん看板横の木桶で栽培されていたもの)
可憐な『湧水の妖精』梅花藻だけでなく、醒井宿では完全な形で現存する問屋場やヴォーリズの旧醒井郵便局舎などの文化財建造物などを見学することも。
問屋場(といやば):江戸時代、街道の宿駅で、宿場を通行する大名や役人に人足や馬の提供、荷物の積替えの引継ぎ業務を行っていたところ(米原市公式HP参照)
旧醒井郵便局舎は木造2階建て(現在は外部モルタル貼り)の擬洋風建物で昭和48年まで醒井郵便局として使用されていました。ウィリアム・メレル・ヴォーリズがその設計に携わっていたことで知られ、国の登録有形文化財に指定されています。旧醒井宿問屋場とともに醒ヶ井宿資料館として公開されています。
JR東海道本線「醒ケ井駅」から地蔵川の起点「居醒の清水」までは徒歩10分ほど。車の場合も米原ICから5分ほどのアクセスの良さです。